成形加工学研究室 実験設備

成形加工学研究室 研究紹介
北村憲彦

〒466-8555 名古屋市昭和区御器所町
名古屋工業大学 つくり領域(3号館7階708室)
Tel: 052-735-5351,Fax: 052-735-5342
E-mail: kitamura.kazuhiko@nitech.ac.jp

君も21世紀の救世主になろう −生産基盤技術の強化と深化−
 金属を粘土細工のように変形させる塑性加工は,飲料缶や自動車部品をはじめ,ICリー ドフレーム,パソコンの電池ケースなど高度な実用技術で日常生活の基盤を支えています. この生産加工技術のキーテクノロジーのひとつが,塑性変形を伴う材料-潤滑剤-工具のトラ イボロジーです.経験的かつ断片的なデータが顔を見せるだけで,一般的に活用できるまで に整理されていません.当研究室は塑性加工と潤滑とを中心テーマに据えて,実際的な研究を 行っています.現場の明日に答えながら,より一般化したつまり技術の横展開が可能・ネ知見を 目指しています.研究室での実験や解析だけでなく,フィールドワーク的な調査研究も行いま す.目先の目新しさに躍らされることなく,本当に大切なものは何か.日本の得意とする基盤 技術を強化・深化させる必要はますます強くなっています.そのためにもプロの生産加工技術 者の養成が不可欠です.学生はもちろんのこと社会人のやり直しの勉強会も含めて,実地の見 学や現場技術者との交流も積極的に行っています.h15年度は企業15社と名古屋都市振興公社 と共同で「冷間鍛造技術研究会」を行いました.そこで共同研究と年4回の研究会・交流会を 実施し,学生も参加して実際に問題となっていることは何か,どのように解決しようとしてい るかを勉強しました.

最近の研究テーマは以下の通りです.
1)硬質表面処理被膜のトライボロジー特性:摩耗や焼付を減少させるために金型に は硬質の表面処理被膜が行われます.考案した摩擦摩耗試験機は実際に工具が受ける応力状態 を想定しています.これを用いて,各種硬質被膜のトライボ摩耗特性を評価し,実際的な工具 設計に役立つ資料提供を目指します.

2)棒材や管材の塑性異方性:塑性力学入門編である「加工の力学」では,立方体を つぶしても断面は正方形のままですが,実際には長方形になってしまう.板ではずいぶん研究 されているが,棒や管にも異方性があることを実験的に示したところ,貴重なデータとして注 目を集めている.実用的な降伏条件式,塑性流動則に役立つよう,いろいろな材料について異 方性を調べています.摩擦の影響も絡み,なかなか面白い.

3)多段冷間鍛造における潤滑剤封入状況:多くの冷間鍛造は数回の連続する工程を 経て製品になる.従来は個別工程の潤滑論に終わっていたものを実際の材料表面の履歴をしっ かり捉えて,工具と材料すき間での潤滑剤トラップ(マクロな幾何学封入)と表面凹凸での捕 捉(ミクロ封入)との連携に注目している.実工程の妙技を堪能しながら,工具潤滑設計の基 礎資料を提供したい.

4)自由押出し形潤滑試験の実験的解析:冷間鍛造用潤滑剤の焼付防止性能を評価す る方法のひとつとしてボール通し試験,テーパプラ・O通し試験を考案し,多くの潤滑メーカに 採用された.今度はさらに一般的な解釈ができるように,所定の・レ触角度と断面減少率を変え て実験や解析をします.

5) 高強度塑性結合法:塑性変形だけで二部品を結合させ,強力なトルクとスラスト 荷重を支える方法を開発中しています.実験と上界速度場の解析を行い,変形様式の理解を深 めます.

6) ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜の金型への適用評価:塑性変形をさせるための 金型表面にDLCの被膜を適用することで,低摩擦と低焼付性を実現し,環境負荷となる潤滑剤の 使用を低減しようという動きがある.豊田中央研究所で開発されたDLC-Siは抜群の密着性があ り,すでに機械要素への実用化が展開されている.これを塑性加工へも適用可能か,潤滑油と の相性はどうなのかを調べ始めた.

7)その他:環境負荷低減のための高性能潤滑油の開発,金型の冷却の問題へもチャレ ンジする予定です.

h15年度修士論文タイトル
・多段冷間鍛造における潤滑油封入状況の調査研究
・管材および棒材の塑性異方性パラメータ
h16年度修士論文タイトル
・硬質表面被膜処理した高速度工具鋼の交差円筒型摩耗試験
h17年度修士論文タイトル
・塑性加工におけるDLC被覆工具のトライボ特性
・管・棒・厚板材におけるヒルの二次塑性異方性パラメータ

h15年度卒業研究タイトル
・チタン合金加工用潤滑剤の評価
・多段冷間鍛造における潤滑油封入状況の調査研究
・管・棒材の塑性異方性(5)
・環境負荷低減一液型潤滑材と材料流動
・高強度塑性結合(1)
h16年度卒業研究タイトル
・表面処理工具のトライボ特性(8)
・低温TRD法によるCrCN被膜の摩擦摩耗特性
・高強度塑性結合(2)
・塑性加工へのDLC工具適用
・管材・棒材の塑性異方性(6)
h17年度卒業研究タイトル
・厚板材・棒材の塑性異方性(7)
・高強度塑性結合(3)
・塑性加工へのDLC工具適用(2)
・表面処理工具のトライボ特性(9)
・ステンレス鋼の絞りしごき加工と潤滑性能(1)

研究室北村 ・i第1一部4年生4名,第二部5年生3名,修士5名,博士1名)
(北村・牧野研合同)ゼミ1回/週,工場見学または学会講習会など5回程度/年,旅行+レクリエーション+懇親会